あや子の復讐

開く
2012-09-29

「この写真の男に何か見覚えはありませんか?」
そう言われて差し出された写真を受け取る手がかすかに震える。
あや子はその眼を見た瞬間に6年前の忌々しい出来事を思い出していた。

かつては魅力的だとも勘違いしたずる賢い狐のような切れ長の眼、高校時代の同級生、酒井慎一に間違いない。
今よりも40キロは太っていたあや子が、卒業直前にひっそりと酒井の机の中に忍ばせたラブレターをクラスじゅうにさらけ出し笑いものにした男だ。

「どうかいたしましたか?」
「あっ、いえ・・・この人、何したんですか?」
「区内で起きている連続コンビニ強盗の犯人です。
 逃走に使ったと思われる原付が、まあ盗難車ですけどね、それがこの辺りで見つかったものですから、目撃情報等あたっている最中です」
何度も同じ説明をしているのだろう、刑事はやや早口で面倒くさそうに説明した。

ケチな男。
あや子は写真をまじまじとみつめながら考えた。

お勧めの体験談