翻弄

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2005-01-02

石段を登った先には鳥居が見えた。高沢悠はやっぱりここは神社だったか、と心中でつぶやいた。山の上に続く石段の行き着く先など、確かに神社くらいのものだろう。 
 悠は小さく溜め息をつきながら、折角ここまで来たことだし、と見物することを決めた。残りの石段をそのまま登り切り、何の気なしに鳥居を潜る。 
 そこで悠は凍りついた。神社の敷地に静かな佇まいの女性が一人いたのだ。悠は階段を登ってきた疲れも忘れ、その女性に魅入っていた。 
(うっわぁ……こんな美人、見たことねぇ) 
 年の頃は悠よりいくつか上だろう。背の中ほどまである見事なストレートの黒髪。切れ長の瞳と美しく整った顔立ちは、クールビューティとでも言うべきか、大人の美女という印象を受ける。少女の危うさではなく、女の余裕と落ち着きを感じさせる容貌だ。 
 同時に目を引かれたのは彼女の服装だった。身体の前に合わせ目のある、真っ白い上着に緋色の袴を身にまとい、容貌とは対照的な清楚さを演出していた。いわゆる巫女装束である。 

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