▼熱帯夜。
2007-08-18
あの熱帯夜を忘れない。
眠れなかったのは、熱さのせいなのか、それとも別の理由からなのか。今にも失神してしまいそう。動悸が速い。呼吸の乱れが止まない。頭の中が真っ白、目の前は真っ暗。
株を何年もやっていて、為替市場でも、それなりに経験を積んできたつもりだったけど、こんなのは初めてだった。
夜中のニューヨーク市場が気になって眠れない。早朝のオセアニア時間の動きが、混乱した精神に追い討ちをかける。
欲を出した人間の末路は、あっけない。桁違いの損失に茫然自失。
どうしてこうなってしまったのだろう。
始めは、年初から続く円安に便乗して、小遣いを稼ぐ程度だった。日本の脆弱な財務性を追い風に、僕は円を売った。儲かれば儲かるほどに、欲深くなっていく。自己資金の範囲を超えない程度の取引だったのがいつの間にか、身の丈の数十倍、数百倍に膨らむ。僕は調子に乗りすぎていた。おごり高ぶっていた。思い上がっていた。
そんな時だった。
年老いた母親が年金の少なさに嘆いて