キャバ嬢を愛して10
2009-11-07
『エンジェル』は大盛況だった。
指名嬢の誕生日となれば、客はそれぞれ大きな花束やプレゼントを抱えて店にやってくる。
そして、それぞれのテーブルでドンペリなど、高い酒が開けられる。
その店のナンバーワンの誕生日ともなると、それはもう祭といっていい。
普段は曜日をバラして顔を出す多くの客が一斉に店へと集結するのだ。
すんなりと席に着けることは稀で、場合によっては1時間以上も待機席で待たされることもある。
『京香』さんの持ち客が何人ぐらいいるのかは、見当も付かないが、1席に『京香』さんが付くのは1時間にほんの5分程度といったところだろう。残り55分間は、ヘルプの女の子を廻して間を持たせるのだ。
仮に延長したとしても、やはり次の1時間で5分付くぐらいだということがわかっているため、ほとんどの客は延長せずに帰っていく。その空いた席へ、新たに空席待ちをしていた指名客が押し込められていく。
ひっきりなし客が回転し、『京香』さんはひたすら席から席を飛び歩くことになる。