札幌麦酒物語

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2015-12-04

20151201-『札幌麦酒物語』byあでゅー


その異人は、私の前で麦酒という物を呑んで見せた。琥珀色に輝き白い泡を冠しているその飲み物は美味らしい。勧められて一口飲んで見た。何だか苦くて、それでいて舌の上でジワーと芳ばしい香りがする。私は一口で気に入った。
「ゴックン…、美味しいです。美味だ!」
「ソレハ ヨカッタ。ドウデス、ワタシノ クニ ドイツ、ベンキョウシニ キマセンカ?」
私は少々迷った。今は外国に出る事は禁じられている。しかし、今を逃したらもう行けないかもしれない。私は一晩悩んだ。

もう生きて帰れないかもしれない。私は父と母にご挨拶をしました。
「父上!母上!今生のお別れです。この中川清兵衛は日本の未来の為に、命を掛ける所存です」
「話はハリスさんから聞いた。是非日本男児の代表として命を掛けてくれ!」
「身体に気を付けて頑張るのですよ!」


1865年、17才の時に私は密航した。まず避難艇に隠れ

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