バイオリン
2006-05-30
ある町の骨董屋。
店に並べられている骨董品の中には一挺のバイオリンがあった。
ある日、店に一人の男の子がやって来ると
店の主人に「あのバイオリン、いくらですか。」と訊いてきた。
主人が値段を言うと、
男の子は「・・・全然足りないや。」とうつむいてがっかりした様子だったが
顔を上げると、「お金もって、また来ます。」と言って帰っていった。
数日後。
主人は男の子が新聞配達のバイトを始めたことを偶然知る。
男の子は、その体には大きすぎる自転車に新聞を積んで坂道を登っていた。
一生懸命ペダルをこぐ男の子の姿を、主人はじっと見つめていた。
それからしばらくたったある日。
主人がいつものように店番をしていると、身なりのいい男性が店を訪れた。