夜行バス

開く
----/--/--

飲み会で賑わう週末の電車。彼女は、会社帰りに友人と飲んだあとの帰宅途中だった。
車中で娘は、これから乗り換える私鉄電車の終電には間に合わないかも知れないと思っていた
けれど、ターミナル駅まではやってきた。彼女には郊外の自宅へ帰るための当てがあった。

彼女の自宅が在る最寄駅は、ターミナル駅から急行電車に乗っても1時間以上はかかる距離。
郊外の自宅までタクシーを使うなど勿体無い。と、いうか。幾らかかるか想像もできなかった。

しかし、以前残業で終電を逃した時に、娘はターミナル駅から夜行バスが出ている事を偶然知った。
夜行バスの料金は娘の昼食代程度だった。バスの終点からタクシーを使えば初乗り料金だけで済む。
だから、夜行バスの存在を知ってからは、終電車に乗るために必死になって走ることもしなくなった。
たとえ乗り遅れてもなんとかなる。それに、夜行バスは、ちょっとした小旅行のようで楽しかった。

とりあえず駅構内でトイレを済ませてから彼女が外に出ると、タクシーの行列が延々と続いていた。


お勧めの体験談