出展が嫌

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2007-07-20

「おい、まだかよ?」 
俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。 
「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」 
確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。 
今年もあとわずか。世間は慌しさに包まれていた。 
俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。 

「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」 
「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」 
俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。 
「お待たせ。いいわよ。…あら?」 
「ん、どうした?」 
「あなた、ここ、ここ」女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。 
「あっ、忘れてた」&nb

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