幼いころの思い出
2008-11-20
僕たちは雑木林の脇を、肩を並べて歩いていた
そのとき二人は小学四年生で、学校からの下校途中だった
千尋はいつものように、その日読んだ本の内容を僕に語って聴かせてくれた
「ジャックはそうして、売るはずだった牝牛を豆粒と交換しちゃったの」
「ふーん」
僕は適当な相槌を打つ
「ふーんって、それだけ?」
彼女は少し拍子抜けしたようだった
「えっ?それだけって?」
僕には彼女の言わんとしていることが分からなかった。その頃から、彼女は僕の何倍も物を考える子供だったのだと思う
「いくらお乳が出なくなったって言っても牛よ?」
「あっ……」
彼女の呆れたように言ったその言葉を聞いて、ようやく僕にも分かった
「つまり、牛と豆とじゃ釣り合わないってこと?」
「そうそう、そういうの不等価交換って言うんだって」
ふとうかこうかん……。なんか不思議な響きだ
「あっ」
僕は半年ほど前の出