三重奏

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2008-12-10


彼女は、さっき、湯を沸かしに席を立った。
俺は、六畳のフローリングに一人残されて座る。
床にそのまま腰を下ろしていたが、あまり寒さを感じない。
外の方が寒かったせいだろう。
体温を取り戻すように両手を擦り合わせる。
しばらく、そうしていたが、
そっと首を伸ばして彼女の様子を窺った。
肩と髪の一部が見えた。
他は壁に遮られて見えない。
俺は、急に思い立って静かに腰を浮かせた。
あまり広くないキッチンに立つ、
彼女の背中に静かに歩み寄る。
彼女は、セーターとジーンズ。
色は派手ではない。
外出から戻って、ダウンコートを一枚脱いだだけの格好。
俺には気付いていない様子だ。
足音を立てないように更に注意して近付くと、
そっと脇の下から両手を伸ばして、抱きしめながら胸を掴んだ。
彼女は短い悲鳴を上げて、一瞬、震えて立ちすくむ。
柔らかい感触

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