俺とミキと蛍の丘

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2006-08-15

俺はその日、役者見習いの勉強が終わるとこの場所に来ていた。
祖母が無くなる前に教えてくれた場所。祖母はこの場所を『蛍の丘』と呼んだ。

「久しぶりに来たな。この場所。駄目だ俺。ここに来るといつも泣きそうになる」

祖母が亡くなる前、俺は世の中に意味を見出せないでいた。別に自分が居なくても
回っていく世界。それどころか自分が周りにケムたがられてる状況。あの時まだ20歳にも
なっていなかった俺だが、消えてしまいたかったあの頃。

「ばあちゃん・・・・・・・・」

もともと体の弱かった祖母だが、入退院を繰り返すにつれて、いっそう体調は悪くなっている
ようだった。ある日、祖母が仮退院で家に帰宅が許されたという事で、俺と親父は祖母の様子を
見に行った事がある。夜の10時すぎ。俺は祖母に呼ばれた。

「陽平や。元気でやってるかい?」
「・・・・・・・・・・うん」
「陽平の事、おばあちゃ

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