To AKI my love
2010-08-12
○×年7月
「先生!先生でしょ。」
夕方の駅の雑踏でいきなり声をかけられた俺は立ち止まった。身長は150cmほどの小柄。見上げるように笑顔をはじけさせているのは間違いなくAKIだった。
「やっぱり先生だ。」
「AKIじゃないか。元気してるの。」
「おかげ様で。先生はデートの帰りですか。」
ふと再開した者どうしの何気ない会話を交わす俺とAKI。
今俺の勤めている高校をAKIが卒業したのは1年と4ヶ月前。俺はAKIが3年の時の担任だった。特に勉強ができる子ではなかったが、笑顔がかわいくて教師の間でも半ばアイドル的な存在。2年生までは誰とも付き合っていなかったが、3年の夏に中学時代の同級生で他校に通っていたチャラけた野郎と付き合い始めてこれがAKIのつらい運命の始まりだった。
AKIの家は彼女が小さいときに両親が離婚して母親と二人暮らし。母親は16で結婚してすぐにAKIを生んだのでまだ若いがこのところの不景気で経済的には楽ではない。したがって卒業後は就職を希望していた。俺は担任として履