非通知

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誰が見ても中年と言われる歳になれば、多少の不安や悩みはあるものだと思うのです。
私も人並みには持っていますが、この程度の事なら今の時代、幸せな方なのだろうと納得させていました。
それが一本の電話で壊れてしまうのですから脆いものなのですね。

残業を終わらせて時計を見ると7時を過ぎ帰り支度を急いでいる時に、その電話はやって来たのでした。
携帯のディスプレイを見ると非通知でしたが、得意先の相手かもと思い出てしまいました。迂闊ですね。

「もしもし」

少しの沈黙の後、男の声が聞こえました。

『・・・奥さん、今日は帰りが遅くなりますよ・・・』

私よりもずっと若い声に感じます。

「はぁ?どちら様ですか?」

『・・・今日は返さないかもしれないな・・・よろしく・・・・』

意味不明な電話で、相手にしてもしょうがないと思い切って帰路につくと、そんな事も忘れてしまいました。
妙な事が当たり前に起こる時代に一々気に等していられません。

私の勤める会社は中心地から少し離れ


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