深夜バス
2013-10-18
「うーん。困った。」
人間、困った時思わず唸ってしまうものである。
京子は旅行代理店から出た道の真ん中で、思わずため息をついてしまった。
ある意味、営業妨害である。
友人の結婚式があるので夜行バスのチケットを取ろうとしたのだが、夏休みのせいか、すでにどの便も満席だった。
旅行会社も3社目、流石にこれはまずいと、焦ってきた。
空路や新幹線も考えたが、席はとっくに埋まっているし、何より高い。
薄給OLとしては、なんとか安く済ませたい。今月は二回も結婚式が入っているので、ご祝儀代もバカにならない。回収できるかもわからないし。
そんな事を考えながら歩いていると、雑居ビルの裏側に、見慣れない旅行代理店があった。
こんなところにあったっけ?と思いながらも、一縷の望みをかけて、店に入った。
「え?!席がある?」