20160301-転生(改2)

開く
2016-03-27

20160301-転生(改2)

 ……たごう様、したごう様、したごう様、「したごう様ー!」はあ、はあ、はあ、はあ。

 気が付くと両手が中空を舞っていた。なにかにすがり付くように……。わたしは夢にうなされて目が覚めたようだ。天井が涙でにじんでる。息が荒い。汗もかいてる。そして……、胸が苦しい。
 頭を起こして心臓に手のひらを当てると、鼓動が激しいのが分かる。こんなにも酷い夢を見たのは初めてだ。一体どうしたのだろう……。
 ふと、枕もとの時計を見ると、もうすぐ目覚ましが鳴る時間だ。わたしは、虚ろな頭でベッドを出て着替えを始める。姿見を見ると、ずいぶん顔がほてっているのが分かる。パジャマを脱ぐと全身も熱くほてっている。胸に手をやり、気を静めようとそっと目をつむった。
 したごう? そうだ。したごうと叫んで目が覚めた気がする。その名前を思うと、なんだか懐かしい、そしてズキッと胸が痛む。一体誰なのだろう……?
 そんな風に考えてノロノロと着替えていると母の声がした。
「瞳! ねえ、起きてい

お勧めの体験談