お正月の悪夢

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私はすでに還暦に近い年齢になろうとしている。
いまだに、お正月が近づくと思い出す。
私が育ったところは、小さな山村だった。
父は役場に勤め、母は山の中の猫の額ほどの小さな畑を耕していた。
生活は決して楽ではなかったが、父も母も私たちに精一杯の愛情を注いでく
れた。
母は、小柄で色黒で痩せていた。
暇さえあると、よその畑の手伝いをしていた。
村で評判の働き者だった。
私の下には、幼稚園にあがったばかりの2歳違いの妹がいる。
私たち4人家族は貧しいながらも幸せな生活を送っていた。
年末の父のボーナスは、4人家族にとって一番の喜びだった。
日曜日にはバスにのって町まで出かけた。
家族でお正月の買い物をした。
私と妹には漫画の本と、お正月に着る下着とジャンパーを買ってくれた。
父は酒を買い、母は市場に行ってみかんや魚や肉を買い込んだ。
家族みんなで年に一度の外食をした。
家族みん


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