婦人科教習生(第1章)

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2008-09-16



第1章
この春、看護学校卒業した加奈は悩んでいた。 
なぜなら折からの不況の風は企業だけで無く、聖域であった医療の世界にまで 
吹き荒れていた。つまり職が全く無かったのだった。 
(まったく、やーんなっちゃう。) 
(なんで卒業したばかりのあたしまで職安で仕事探しをしなくちゃならないのよ。) 
加奈はなかなかいい仕事が無く苛立っていた。 
「19歳の女の子が来るところじゃないわね」独り言をつぶやく。 
加奈は手にした、看護婦募集のページを捲りながら、 
次々に就職を決めていった同級生の事を思い出していた。 
(あの子達はいいわよねぇ、低給料・低休日でも妥協しちゃうんだから) 
就職と同時に念願の一人暮しを始めたい加奈にとって休みの多さはともかくとして 
最優先は給料の高さであった。 

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