遠恋中の彼に会えなくなった先輩をお持ち帰り・後編
2019-05-07
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一瞬我を取り戻したカオリさんは、自分の腕の存在を思い出したかのように、最後の抵抗のつもりなのか俺の顔の方に手を移動させてきた。
「見るな!」
てっきり俺の顔を塞ぐと思っていたら、手のひらが拳に変わった。
スローになった光景の中で、力ない正拳突きが俺の顔をとらえた。
実際、拳のスピードは遅かったと思う。
咄嗟に後ろに避けたので、カオリさんの拳は軽く額に当たっただけで痛くはなかった。
そしてカオリさんは俺の指から解放された。
「ハァ、・・・ハァ、・・・ゴメン、・・・痛かった?」
潮を吹かされながら俺の心配してくれるなんて、なんていい人だ。
「大丈夫だよ」
「そうだよね・・・、もう、・・・私、ダメだ。恥ずかしすぎる」
ぐったりとソファに座り込んだ瞬間、再びカオリさんは跳ね上がるように起きた。
「冷た!ああん、もう!」
バッグからティッシュを出して拭き始めた。
雰囲気が変わる。
これ以上は