霊刀の精霊
2008-11-14
俺と沙織の結婚式の時。
早くに父を亡くした俺と母を助け、とても力になってくれた
叔父貴と久し振りに会う事ができた。
叔父貴はすでに八十を超える高齢だが、
山仕事と拳法で鍛えている為とても年齢相応には見えなず、
沙織の親族からは俺の従兄弟と勘違いされるほどだった。
ピシッとした紋付袴姿で軽トラから現れた叔父貴が
助手席から幾重にも包まれた長いモノを取り出したとき、
俺はそれがあの刀だと直ぐに判った。
かつて自分が幼き頃、叔父貴の家で出会った刀。
そして、その精霊。
彼女は己を俺の物として欲しいと言った。
叔父貴は刀が欲しいとねだる幼い俺にこう言った。
「この刀は、独身の男が持つと魂を魅入られてしまう。
だからお前が将来、この刀の精霊に負けない程の女性を
妻としたらお前にやろう。」 と。
叔父貴に駆け寄りその逞しい拳を握り締め、挨拶をする