ある鬼の記録 由美と愛の場合
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8月。夏休みはたけなわだ。
俺は暑い夏にやけに薄着な少女たちに目移りしながら車を走らせていた。
地方都市の街角は盆を控えて何となく浮き立った気分を見せている。
小さな商店街を抜け、家並みが途切れかける辺りで俺は「獲物」を見つけた。それも「2匹」同時にだ。
「どうしたの?」
「・・あ、由美ちゃんが転んじゃって・・」
そう言って俺を振り返ったのは、背丈の大きいお姉さんっぽい子だった。
「由美ちゃん、大丈夫かい?」
「・・ヒック、ウェック・・足、いたぁい・・」
どうやら草むらに隠れた側溝に足をつっこんだようだ。由美と呼ばれた少女はホットパンツから伸びた右足のすねを大きくすりむいていた。くるぶしの辺りが青黒くひどく腫れている。歩くどころか立つのも無理だろう。
長く伸びた髪はツインテールにまとめられて両肩に被さっている。青いノースリーブのシャツから伸びた腕は細く、筋肉は未発達で低学年だと思った。
「痛そうだ・・よく我慢してるね・・何年生?」