おもいで
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俺はある休日に近くの遊園地に、友人と遊びに行った。日曜日ということもあり、沢山の人で賑わっていて、時々肩が
ぶつかりそうになることもあったが、時間が経過して遊びに没頭するうちに、人ごみの辛さはあまり感じなくなった。
そしてお昼を食べて、俺がトイレで用を足し終えて出ると、そのそばのベンチで一人の女の子、具体的には小学二年生く
らいの女の子がしゃくりあげながら座っているのが見えた。パッと見お母さんかお父さんとはぐれてしまったのだろうな
と思い、俺はそこを通り過ぎようとしたのだが、何の偶然なのか、その女の子と視線が合ってしまって。
女の子は俺に、まるで子犬がすがるような目線を向けてきたもんだから、そのまま知らんぷりをするわけにも行かなく
て、俺はその女の子のそばに行く事にした。
「どうしたの?」
俺がいたって優しく声を掛けて、目線も同じ高さにしてたずねた。俺が隣に座ったタイミングで、女の子は話してくれ
た。案の定一緒に来ていたお母さんとはぐれてしまって、さがしているうちに疲れてしまったということだった。