家族記念日

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2006-07-10

真っ白な砂浜が広がる海辺にその子はいた。待ち合わせがこんな所というのもめずらしい。
今日俺はメル友と初めて会う事になっているのだ。インターネット上で出会ってからもう半年
になる。

海が見える所で会いたいというのが彼女の希望だった。理由は教えてはくれなかった。
俺は20歳の大学生。彼女は17歳の高校2年生という事だった。
彼女はボーっと海を見つめているようだった。不意に風で彼女の帽子が飛ばされる。
ふわりと俺の足元に落ちる帽子。振り返った彼女と目が合った。

「杏子さん?初めまして。和明です」

俺はそう言いながら帽子を彼女に差し出した。彼女はしばらく俺の顔を見つめた後
ゆっくりと帽子を受け取った。

「あ、あの・・・・・・・初めまして。杏子です」

メールでの印象と同じ感じがした。丁寧な物言い。落ち着いた感じ。だが、どこかぎこちなく
心の深いところまでは入っていけない感じ

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