濡れおなご
2009-08-02
あの頃はまさか、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
バイト帰りにいつも通る河川敷。あいにくの雨だが俺の好きな景色だ。
そんな場所であいつと出逢った。
少し石が盛り上がり、川幅が狭くなっているところに女がいた。
もう深夜0時を回っているのに女一人、しかも傘を差している様子も無い。
俺は心配になって、彼女のもとへ駆け出していた。
「どうしたんですか?こんな時間に女性一人なんて危ないですよ?」
彼女は俺の問いには答えず、無言のままこちらに振り向いた。
俺は言葉を失ってしまった。雨に濡れているはずなのに、艶やかに輝く長い黒髪。
アルピノかと思うほど白く美しい肌。星の光に照らされ輝く大きな瞳。
彼女を見ていると自分という存在が、どんなに卑小な存在が思い知らされるような気がした。
長い沈黙が続く、俺は彼女の瞳から目を離す事が出来なかった。彼女も俺の瞳を見つめている。
ふと彼女が微笑んだ。俺は笑顔で答えるしか無かった。
彼女の薄桃色の