嘘の女王
2010-12-26
昔々、
未だ夜空に星が輝いていなかったほど昔、
広い(ひろい)この世(よ)の片隅(かたすみ)に
「嘘(うそ)の国(くに)」という
中々(なかなか)どうして厄介(やっかい)な国(くに)がございました。
何から何まで嘘に彩られた
この国を治めまするは、
嘘の女王。
その御姿かたちも御言葉も、
女王様におかれましては
嘘の嘘まで嘘なのですが、
だからこそ却って
真実がお分かりになる御方でした。
けれど天(てん)なる定め(さだ )として
一度(いちど)でも真実(まこと)を口(くち)にしようものなら、
その御命(おいのち)は
たちまち失われて(うしな )しまうのです。
「何(なん)と素晴らしき(すば )定め(さだ )!」
だから女王(じょおう)はそんな嘘(うそ)をついて
天(てん)に栄光(えいこう)あれぞかしと
嘘涙(う