三件の飛び降り
2012-03-27
とあるマンションでは二件の飛び降り自殺事件があった。
一件目の自殺者は少年だった。それはクリスマスイブの事だった。
有名進学高に受かったばかりで幸せ絶頂だったはずの彼の死体の横には、
クリスマス用に包装された包みがあり、中には何故かエロ本が入っていた。
少年の両親は共働きで、ほとんど祖母に育てられたおばあちゃん子だったという。
家族は嘆き、祖母は一気に痴呆が進み、少年を探しては徘徊するようになった。
少年を探すという事は少年は生きていると認識しているはずだが、
一方で、少年の誕生日やクリスマスになると、
プレゼントと称して様々な品をマンション屋上から投げ込んだりと、
まるでお供えをするような奇妙な行動を取った。
周囲の人々は、狂って矛盾しながらも孫への愛を持ち続ける祖母の事を悲しんだ。
二件