日本

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2010-10-04

今の日本を思う時、私は過去のある出来事を連想してしまう。あのタイタニック号沈没の悲劇だ。当時、先端技術を駆使して造られた世界最大の客船はその処女航海で氷山に衝突し敢え無く沈没してしまった。衝突で出来た穴から水が漏れ出し、まだまだ大丈夫といいあっている内に、水は機関室にまで浸透し、最後はあっけなく逆立ちし海底の藻屑と消えた。このままで行くとこの日本の未来も同じことになりかねまい。 振り返り考えてみると、この六十年余日本が享受してきた平和なるものは世界の中で未曾有のものだ。国家自体を緊張に晒(さら)す事態に遭遇することなく半世紀余を過ごすということは、人間の歴史の中でも希有なることだった。
 現代史に限ってみても、第二次世界大戦の後の冷戦構造下での緊張はヨーロッパの先進国と日本とではことの深刻さがかけ違っていた。平坦な地続きのヨーロッパと島国の日本では、冷戦時代の軍事的緊張はその実感はかけ離れていたと思われる。世界で唯一の原爆被爆国である日本にしてなお、我々に原爆を投じて瞬時にして戦に打ち勝った当のアメリカ様が戦後から今日までこの国を実質統治してきたお陰(?)で、冷戦下での国民の意識はアメリカへの

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