狙われた詩織

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ねえ、そこの綺麗なカノジョ。俺と泳がない?」

…これまでも、町並みや駅前なんかで何度こんな風に誘われただろう。
まさかと思ったけれどプールの中でまで、こんな風に誘われるとは思わなかった。
「間に合ってますから」
バカなナンパ男にそっぽを向いて詩織は答える。
こんな風に答えるのも、もう慣れっこだ。
それにもう、ほとんど嘘ではない。
「詩織、ごめんね?売り場が混んでてさ」
「ありがと、拓哉君」
暑いのにわざわざソフトクリームを買ってきてくれた彼女の幼馴染を見て、舌打ちしながら、真っ黒に日焼けしたその『バカ男』は去っていった。
「知り合い?」
「うふふ、そんなわけないじゃない」
渡してくれたソフトクリームをちょっとだけ舐めて、詩織は笑う。
自分と隣り合った椅子に座って、ソフトクリームの冷たさに目を白黒させている彼を見てると、それだけでなんだか嬉しくなってくる。
だけど、そんな微笑ましい高校生カップルを『バカなナンパ男』が


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