無毛割れ目の夏
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苦し紛れだっていうのはわかっている。
でも告白させてほしい。
これは十数年前の七月だった。
俺は東武東上線に乗っていた。
椅子には座れず、ドアの前に立っていた。
流れていく景色は
その時、一人の少女が声をかけてきた。
「あの、××さんですか?」
少女は中学生くらいだった。
だった、というのは私服だったからだ。
俺はたまたま同じ名前(名字)だったから、
「そうだよ」
と、答えた。
少女の顔は曇っていた。
外の空と同じように。
ふと見ると、雲の隙間になにかが見えた。
それが糸井重里のアナルだと気づくのに時間はかから