少女を誘拐してみました

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2014-08-15


 3月30日。
 俺はこの人気の無い公園で、人と待ち合わせをしていた。
「ユウちゃん」
「あ、お兄ちゃん!」
「待った?」
「ううん、全然」
 この女の子の名前は山下優羽ちゃん。
 お兄ちゃんなどと呼ばれているが、実際はあかの他人で、ほんの一週間ほど前に
この場所で出合ったばかりだ。
 まあ、出会ったと言っても、偶然の要素は一切無かったのだが。
 話は一週間と少し前のこの時間に遡る……。



「こんにちは」
「えっ?」
 一人でブランコに乗っていたユウちゃんは、俺の声に驚いて顔を上げた。
 どちらかと言えば丸顔で、薄紅色の頬、平たい鼻、大き目の眉毛と長い睫毛が印
象的な、子供らしくて可愛い女の子。
 子猫のような顔をした、撫で回したくなるような女の子。
 それが、最初ユウちゃんを見たときの感想だった。

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