こんな奴に2
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「先輩、ピッチ早いすね」「ああ、うん」妻はうろちょろとタオルやBに着せる浴衣
を出したりしていました。Bは相変わらず目で妻を追っていました。妻もBの視線を
を感じるらしくチラチラと振り返っています。私は素知らぬ様子でテレビを見てい
ました。
「Bさんどうぞ」妻が声を掛けました。「僕は、デブでお風呂汚しちゃうんで最後っ
て事で」「じゃ、あなた」「あ、うん」妻が珍しく妙にはしゃいでいます。「あ、
あ、ちょっと待って」妻が籐の衝立で仕切っただけの隣の部屋に駆け込んで衣装箪
笥の辺りで何かしています。それから私達のいる部屋のすぐ隣にある風呂場の脱衣
所に入っていきました。
古くて狭いマンションですから、配慮の行き届いた間取りとは無縁の作りになっ
ています。トイレ、洗面、風呂場、脱衣スペースに洗濯機置き場まで一所に押し込
んでいるのです。それでも入居したての頃はドアもあったのですが、今は壊れて短
いカーテンで仕切ってあるだけになっています。妻と私の