謹慎処分中に逢いにきてくれた菜々
2014-04-24
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俺の高校時代のこと。
俺の名前はたつや。
某県立高校に通っていた。
その学校は俺たちが入るまではあまり吹奏楽が盛んではなかったが、俺たちの代で30人ほどが入って、やっと50人のバンドになったほどだ。
俺の中学はなかなかの名門校で、高校でもトップを吹いていた。
夏の大会が終わってから俺は燃え尽きたようにクラブに顔を出さなくなった。
はじめは学校生活を楽しんでいたけど、学園祭の日に喧嘩騒動で大量の人間が謹慎処分になった。
俺はその事件の起爆剤みたいなものだ。
初の学園祭が変な思い出となってしまった。
次の日の朝、正式に処分言い渡しがあり、そのまま強制帰宅であった。
帰りに学校近くのコンビニで一服していると、ケータイが鳴った。
画面にはクラブのタメの女の子の名前『菜々』が表示されていた。
「もしもし?」
「・・・」
返答はない。
しかし微かにすすり泣く声がこっちにも聞こえてくる。