下宿屋の女

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 ついていない時というのは、後から考えると千載一遇のチャンスでも、黙って見送ってしまうものなんだな。

 今でも下宿屋ってあるんだろうか。
 昔下宿屋というと、必ず最初におばあちゃんが出てくるのである。
 「息子の正男と嫁の優子。その娘の、上から千裕、好子、未来よ」
 そんな一家の中で同居することになるのだから、今ではおそらくないのでしょうね。
 しかし当時はいたってそれが普通だった。
 実際同居人は、母屋と離れを含めると、5人もいたのだ。
 今気づくんだが、男6に対して女5、一人浮く計算だな。

 実際、浮いていたのは僕だった。
 
 おばあちゃんの名前は、思い出せないが、風呂上りはいつも上半身裸で、乳びんた可能なたれ乳を揺らしながら、ビールなどを飲んで、ご機嫌だった。
 台所のテーブルで同居人は食事をするのだが、嫁の優子さんが、何を思ったか、
 「乳もんでみたいかい。もませてあげるよ」
 と提案したが、だれも手をあげなかった。


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