バレンタインデー

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2005-10-15

2月14日。学校帰り、俺はいつもの公園に呼び出された。
「ねえ、賢ちゃん・・私ね、ずっと・・・好きだったの。」
いつも男っぽい佳織が、頬を赤らめて俺に言う。
小さな紙袋の中には、可愛くラッピングされたチョコレート。
「手作りなの・・・、た、たべてくれると・・・うれしいんだけど」
可愛い手袋をした手で、不器用に俺に差し出す。
いきなりのことで動揺してしまい、俺はただそれを受け取るだけだった。
「返事・・・、ホワイトデーにちょうだい」
そういって、俺にくるっと背を向け走り出す。

当時中2だった俺達は、保育園からの幼馴染。
家も近所で、3歳から一緒に育ってきた佳織からのいきなりの告白。
俺は、どうしていいかわからなくなった。
その日は頭が真っ白になって、何も考えられなかったが、
なぜか頬を涙が伝っていた。
ただ、菓子を作るのが得意な佳織が作った生チョコは、
俺も一緒に溶けてしまうんじゃないか

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