ニートVS殺人鬼
2011-10-14
ガチャ。
住み始めて半年のマンション。その303号室のドアを開け、男は散らかった部屋へ足を踏み入れる。食事のほとんどがカップ麺の男には不要の台所。アンモニアと害虫の密集する洋式トイレ。一週間に一度使うか使わないかのバスルーム。
それぞれへ繋がるドアを通り過ぎ、男は最も散らかっている居間へと着いた。
中央にあるつくえは新聞やらカップ麺の容器やらで埋め尽くされ、つくえのつの字も見えない。そのつくえを挟む形で、右にソファ、左にテレビが向かい合っている。この二つは、男の部屋において使われる回数一,二位を争う。
そして、前を見れば、洗濯物を干したことのないベランダ。窓は汚い。
今までコンビニへ、今日発売の週刊誌を立ち読みしにいっていた男は、高校を卒業したばかりだった。高校卒業前に無理を言って住み始めたこのマンション。ここに住み、親の視線から逃げた浪人生の男はなまけていた。勉強もせず、働きもせず、ただ親からの仕送りだけで生活をしていた。
「ちゃんと働かないと仕送りなんてしません!」