死の淵から その5 -黒澤-

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2013-08-24

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-----妻の最後の手紙----

あの日、貴方が玄関口で倒れた時、私は救急車の中で貴方が言った「愛している」という言葉を聞き、初めて貴方に「愛している」と言われた時のことを思い出していました。
私が忘れていた気持ちを取り戻した時、私の前に広がっている絶望の淵に気がつき、自分の過ちを・・・どこで間違ったのかを、気がついたのかもしれません。
私の人生が狂ったのは、決してホテルで乱暴されたからではないのです。
私は私自身で貴方を裏切ることを選んだ時から、貴方に平気で嘘をつける人間になってしまった。
貴方には謝っても謝り切れないほど酷いことをしました。
もう元には戻れません。
貴方の人生にご多幸があらんことを。

諒子

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手紙には離婚届が同封されていました。
私は何も言えず、ただ妻のことを考えていました。

「それでも私は妻を愛しているのだろうか」と、幾度も自問自答しました。

妻を取り


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