新妻絶頂

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2012-10-08

武田美佳はこの七月に二十六歳になったばかり。結婚してまだ半年、共働きをしているせいかまだ「人妻になった」という実感もあまりなかった。結婚をしたら勤めている銀行を辞めて専業主婦になろうと思っていたのだけれど、入社してまだ三年にもなっていなかったし上司の説得もあってそのまま職場に残ることにした。もちろん経済的な理由もある。 
新居には新築のマンションの二階にある一室を借りた。二人で新居を探すとき、都内の狭いアパートより郊外の広いマンションの方がいい、と話し合って決めたのである。家賃も手ごろだったし、駅からも近い。 
初めは慣れなかった結婚生活にもだいぶ慣れてきて、最近は生活のリズムというか日々の暮しの勘が掴めてきたように思える。不満らしい不満といえば会社までの通勤時間が長くなったことと夫の帰りが遅いことぐらいで、経済的にも余裕はあったし、夫婦仲も結婚当時と変わらず円満だった。 
美佳の夫、健介は大手町にある財閥系の金属メーカーの人事部に勤める平凡なサラリーマンである。人事の仕事は忙閑の差が激しく、美佳が帰宅するともう帰っているということもあ

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