追想曲2

開く
2007-02-18


やけに涼しく感じた夏が終わりを告げ、騒がしかった蝉の声が小さくなるにつれて、秋の足音が一歩一歩近づいてくる。

九月が過ぎようとする頃に、やっと文目が学校に来た。


―この時受けた衝撃を、俺は今でも鮮明に思い出すことが出来る。


 「シュウちゃん」


紅く染まる廊下。
聞き慣れた声に呼ばれ、振り返った。


そこには、サラサラのセミロングの髪が印象的な少女が居た。
……が、後ろに立っている少女にまったく見覚えはない。

―あれ?

確かに文目の声がしたと思ったんだけど……。
勘違いで振り返ったなんて、とんだ笑い草だ。

見知らぬ少女に、ハハハと照れ笑いを向けて誤魔化すと、前を向き再び歩き出そうとした。

……すると


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