他人(ひと)の皮を被る 一話
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世界には同じ顔をした人間が3人いる。
ドッペルゲンガーとも呼ばれる有名な都市伝説だ。
大門晃(おおかどあきら)はその都市伝説を、ぶらりと足を伸ばした街の喫茶店で思い出した。
「いらっしゃい……あら、久しぶり」
喫茶店の女主人は晃を見るなりそう笑いかけた。晃は訝しむ。
その店に入ったのは間違いなく初めてだ、久しぶりとはどういう事か。
「ええと、どこかで会ったっけ?」
晃が問うと、女主人は目を丸くした。
「何言うんだい、お前さん」
そう言って晃の頭からつま先までを何度も見やる。
「……確かにいつもみたいにスーツじゃないけど、じゃあ何、他人の空似かい」
「おそらくは」
晃が頷くと、女主人はふうん、と唸った。
「驚いたね、瓜二つじゃないか。まるで双子だよ」
晃はそれに愛想笑いを返しつつ、かの都市