木の香りの旅館

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こじんまりした旅館で、木の香りがまだ新しかった。
この歳でも、いまだに若い女性との混浴にはときめいた。
その人は広い温泉の中に立ち上がって、タオルで前を隠した。
おれは、男の興奮がわかる程度に両膝を拡げた。
 「立派ですね。男らしい」
その人がそう言った。
 「私、思うんです。哺乳類って、人間もそうだけど、
  哺乳類のオスが、メスの目の前で生殖器を興奮させるのは、
  生殖行為への自然なお誘いですよね。
  つまり、人間なら無言の告白です」
そう言いながら、おれの横に座った。
素肌がピンクに染まってた。
 「私ね、それを知合いのお医者さんに聞いてみたんです。
  そしたら『そりゃチン説(珍説)だ』って笑われちゃって。
  でも私、そういうことだって思うんです」


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