イケメンの甥を理想の男に育てる・後編
2014-08-31
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春にツバメは私のもとに帰ってきました。
「何かあったら、私が様子を見るから」
兄夫婦にはそう言っておきましたが、リュウイチにはそれを両親から勧められても不自然にならない程度に難色を示すよう、言い含めておきました。
果たして、兄夫婦の強い意向が働いて、リュウイチの下宿は私のアパートと駅を挟んで歩ける程度の場所に決まりました。
最寄りの駅が、大学への通学沿線上にあった事も幸いしました。
入学式の前夜、兄夫婦は田舎からのお土産をたくさん持って、私のアパートを訪れました。
部屋の散らかりようは、仕事の納期に追われているときより幾分酷くしておいて、会社から帰ったばかりの“仕事女”をアピールしておきました。
「アキコ、この散らかりようじゃ男も逃げ出すぞ」
兄は呆れていましたが、義姉は、「お仕事大変なのよねぇ、アキコさん」とフォローしてくれました。
曖昧に頷きつつ、改めて私は心の中で義姉に手を合わせました。
(リュウイチを美しく産んでくれてありがとう)