【プール】 【すまきの話】 【指さし】
2009-06-21
21 :プール ◆oJUBn2VTGE :2009/06/19(金) 22:43:16 ID:fg91v0gN0
太陽の中に水しぶきが跳ねた。
それが一瞬キラキラと輝き、眩しさに目を細める。空には雲が一つだけ浮かんでいる。目に見えない大気の層の向こうにまっさらな青い色が伸びていて、プールサイドのベンチに仰向けになっている僕にも、突き刺すような日差しとともに生ぬるい風が頬を撫でてくる。
「ひと、いませんねえ」
「……なにか、言ったか」
水音を涼しげに響かせながら師匠が腕を止める。
大学一回生の夏だった。午前中、ダラダラと師匠の部屋で無駄話をしていたが、あまりに暑いので昼下がりに二人連れ立って市内のプールへやってきたのである。
ところが今日あたりさぞ込んでいるだろうと思っていたそのプールが、ガラガラだったのだ。受付のおばちゃんがうちわで顔を扇ぎながら「今日はすいてるよ」とだるそうに言っていたときは「まさか」と冗談を言っていると思っていたのに、