あるミニ四レーサーの思い出
2007-05-13
「兄貴早くしろよーっ!!!レース始まるって、早く!!!!」
ばたばたと俺の自室の前にある階段の下でレーサーズボックス片手に大騒ぎする弟の声がし、
俺はカチリとボディをシャーシの上に乗せて止め具を締めた。
「待てよ、今すぐ行くーッ!!!!!!」
声は慌ただしいものの、まるで貴重な物に触れる様にそっとそのミニ四駆を取ると、
悪趣味な狼の横顔のシールの貼られたレーサーズボックスにそれを入れ、
ドアの前のフックに掛けてあった緑の帽子を乱暴に被ると、
レーサーズボックスをひっ掴んで転がる様に階段を掛け降りて行った。
「よっしゃ行こーぜ!あれ、けいごは?」
「今回パス。野球の試合だって。」
「ふーん。」
「あ、兄貴俺に負けたらア