哀憐の少女
2009-07-13
ある殺人事件が起こった。被害者は五歳になる少女。母親と近くのスーパーに買い物に行き、母親がちょっと目を離した隙に、姿が見えなくなった。警察や地元の住民達が総出で捜索した結果、近くにある山道で遺体となって見つかった。
そこは地元の住民しか知らない旧道で、また住民達も滅多に通らない所だった。警察は犯人は土地勘のある人物と断定して、捜査し、すぐに犯人は逮捕された。以前からマークされていた変質者だった。悪戯目的で連れ出したが、泣かれたのであっさりと首を絞めて殺害し、無造作に道の脇の茂みに遺棄したという。
それからしばらくして、夜に現場を通りかかると女の子の泣き声を聞いたり、姿を見たという噂が立つようになった。そのうち、恐ろしい形相で飛びかかってきたり、車で走っていると、後ろをすごいスピードで追いかけてくるなど、よくある都市伝説の様相を呈すようになった。
「――らしいんだ。今夜俺の車でそこへいって、確かめにいかねえか?」
大学の学食で一緒に昼飯を食っていた同級生のM夫が言い始めた。
「本当かなあ、胡散臭いよ」