窓辺の黒い影
2007-04-30
あのですね、「俺には霊感無いし、幽霊なんか見えないから安心だよ」なんて言ってる方。甘いですよ。霊感無くても見えちゃう事があるんですよ。僕のように。
それは八年ほど前の夏の夕暮れ時の出来事です。
僕が通勤に使うJRの駅までの通勤路の途中には、築何十年経ってるの分からないようなボロい下宿風のアパートがありました。それでも一応住人は居るらしく、取り壊される気配はありませんでした。
ただ、聞いた話では過去何人か自殺者が出たという噂のある、いわく付きの物件なんだそうです。
さてその夏の夕暮れ時。僕は会社終わりでJRの地元駅を降りると帰宅の途につきました。夏という事で、6時を過ぎてもまだ空には夕日の薄明るさがありました。
そして僕はだんだんとそのアパートに近づいて行きます。
ふと、僕は何かが気になり、アパートの二階あたりに視線を上げて見ると…
「…何だ あれは?」
アパートの一室の窓のすぐ外の薄暗い空間で何かがうごめいて