村上龍でさえ…

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2010-09-28

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の顛末に、わたしはびっくりしました。民主党が唱える政治主導というのは、大きな外交問題に発展した事件解決の結果責任を地検に押しつけるということだったのでしょうか。5年前、『半島を出よ』という長編小説を発表したとき、福岡を占拠した北朝鮮コマンドへの日本政府の対応の描き方について、「いくらなんでもこれほどまでにバカではないだろう」というような指摘がありました。

 わたし自身も、「本当にここまでバカだったら現実的にはやばいな」と思いながら書いたのですが、どうやら現実は作家の想像以上に深刻であるようです。中国漁船の船長を逮捕し、10日間の勾留延長が決まったとき、強硬な中国に対し、当然日本政府は何らかの外交カードを用意しているはずだと思いました。少なくとも最悪の事態を想定して対処しているのだろうと思ったのですが、結局、政府は何も対抗策を示さないまま、船長を突然釈放し、しかも那覇地検にその責任を押しつけ

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