谷川俊太郎「夜のミッキーマウス」2003.9 について 

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2012-09-11

「なんでもおまんこ」 その1

「なんでもおまんこなんだよ/あっちに見えてるうぶ毛の生えた丘だってそうだよ/やれたらやりてえんだよ/おれ空に背がとどくほどでっかくなれねえかな/すっぱだかの巨人だよ/でもそうなったら空とやっちゃうかもしれねえな/空だって色っぽいよお/晴れてたって曇ってたってぞくぞくするぜ/空なんか抱いたらおれすぐいっちゃうよ/ざうにかしてくれよ/」

 「おまんこ」という言葉は、私たちの共有世界において、ほとんど消える寸前の位置に漂う言葉だ。それは公には認められていない言葉だ。つまりあたかも存在しないかのように待遇される言葉だ。スラングであり、かつ卑猥な言葉とされている。ヒエラルキーの上にあって最も価値の低い位置に追いやられている言葉だ。

 なぜそうなのか。

 「おまんこ」という言葉の持つ性格は、その社会の上で、あるいはその個人の内面において、性行為が隠蔽されている度合いに応じて、消滅に接近する。逆に隠蔽が全くなければないほど、それは人々や個人のボキャブラリーの中から消滅する。

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