きみが私よりも

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2008-03-20

小学生のとき、交通事故で入院した。 
経験ある人は分かると思うが入院生活は本当にヒマ。 

両足骨折のために歩くことも出来なくて、ヒマで仕方ない俺に隣の女の人が読書を勧めてくれた。 
もちろん小学生の俺が小説など楽しめるはずもなく、嫌がったら年齢を聞かれた。 
「じゃあさ、きみ、いくつ?」 
なんで歳なんか聞くのか分からなかったが、素直に10歳だと答えた。 
「私は16歳だよ。年上の言うことはちゃんと聞かなきゃダメだよ」 
本を読む機会なんて全く無かったために、親にも同意されて不承不承読むことになった。 

そして退院の日、その人は俺に、文庫本サイズのブックカバーを祝いだと言って渡した。 
松葉杖があれば歩けるようにはなった俺は、読書よりも遊びたい気持ちでいっぱいだったので、もう本なんて読まないと答えた。 
「じゃあ、きみが私よりも年上になった

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