SS
2008-09-16
ケーイチは暗く狭い箱の中で目を覚ました。体中に鈍い痛みが響く。
どうやら気を失っていたようだ。
頭が混乱している。今までの記憶がはっきりしない。
突然、何度も何度も殴られて、訳が分からないままここに押し込まれたようだ。
箱は厳重に閉じられていた。とても自力で開けられそうにない。
「仕事が済んだ後で、海の中にでも放り込んでやれ」
男の邪悪な声が脳裏に蘇った。そうだ、自分は殺されるところだったのだ。
そっと、僅かなすきまから外の様子を伺う。無骨な男たちが何人もいた。
みんな、法律で規制されているはずの拳銃を無造作にぶら下げている。
全然事態が飲み込めないが、明らかにこれは冗談などではない。
ケーイチは全身の血が引いていくのを感じた。
出口はどうやら、はるか向こう側の重い扉ひとつだけのようだ。
武器を持った見張りもいる。隙を見て逃げ出すといった芸当も、不可能に思われた。
涙が出てくる。正に、絶望的な状況だった。
ケーイチ