決意の理由
2006-12-18
兄がクスリにはまって、マチキンから金を借りた。1回目は俺と妻が貯めていたマンションの頭金でやりくりしたが、2回目は俺が借金をさせられてなんとかしのいだ。けれど3回目の時はとうとう債権回収業者と名乗る妙な連中が家にきた。病持ちのおふくろは、もう半狂乱だし、俺たち夫婦にももう金はない。居間の真ん中で、連中に足蹴にされながら、顔を腫らした兄が「見捨てないでくれよ」と甘えた声ですがりついてくるのが殺してやりたいほど、腹立たしかった。
「弟さんよ、もう1回、金借りてこい」と鼻が低く赤い顔をしたおっさんが凄んできた。俺の背に隠れるおふくろと妻は時折、連中から身体を触られ、すっかり怯えてしまっている。「明日までにそろえる」と俺は答えたが、おっさんは「だめだ」と畳の上に唾を吐いた。時計はまだ午後7時をすぎたばかり、今からマチキンを回れば、金は用意できるはずだと別の男が大声で怒鳴った。
仕方なく、俺は監視役の男を一人付けられ、その男の運転するシーマで、マチキンめぐりをさせられた。どこの業者でもやけに短いスカートをはいた受付女がこっちの緊迫度合いとは不釣り合いな笑顔で迎えてくれ