遠い日の思い出

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2019-05-15

あれは、確か1990年初期だったと思う
俺は、研究所の仕事が終わってから神奈川某駅の裏道に車を止めて、ぶらぶらと歩いていた
ふと、横目で視界に入った情景に違和感を感じ、行き過ぎた道を戻った

そこには、みちばたで立ちつくす少年と、うずくまる少女
そして、タイヤのフレームがゆがんで横たわる自転車
少女を見ると、足がぽっきり折れて、痛々しく不自然な方向に向いている
少年の自転車が路地に入ろうとして、出会い頭に少女と衝突したのだろう
俺はあわてて、近くの店の人に救急車を呼んでもらった

その後、俺は言葉をかけることもできずに、ただ少年のそばにしゃがんでいた
本当は、少女の手を握って、励ましてあげればいいのに、いろいろ考えてしまってできない
その時、ひとりのOLが状況に気づいて、少女に寄り添った

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